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進学通信

2023年3月

この記事は1年以上前の記事です。

NEWS & TOPICS
「何のために学ぶのか」
『K1クエスト』で見つける真のアクティブラーナー

公開日2023/4/20

子どもたちにとって“勉強”とは何でしょうか。さまざまな解釈はありますが、残念ながら勉強が苦役になっている面もあるのは事実でしょう。「つまらないし面倒くさいけれど、やらなければいけないから仕方なく勉強する」という考えです。
本来、新しい知識を得たり、何かができるようになることは楽しいはず。それにも関わらず、勉強に苦手意識を持ってしまうのは、それが学校の成績や大学受験のため“だけ”のものになっているからかもしれません。
たとえば、その知識が社会でどのように役立っているのか、自分にどのような可能性や選択肢をもたらしてくれるのかを知り、もっと根源的に“学ぶ意味”に触れることができたら、勉強や進学への向き合い方も変わるはず。常翔啓光学園では、「知りたいから、楽しいから勉強する」という理想的な学ぶ姿勢の実現と、真のアクティブラーナー育成に取り組んでいます。

「勉強とは“させらされるもの”だと思っている生徒の意識を『K1クエスト』を通じて変えてあげたいです」(一貫コース長・森昌範先生)

「勉強とは“させらされるもの”だと思っている生徒の意識を『K1クエスト』を通じて変えてあげたいです」(一貫コース長・森昌範先生)

同校は、学校法人常翔学園の三つの大学(大阪工業大学・摂南大学・広島国際大学)が持つ高度なリソースを活かした中高大連携教育『K1クエスト』で、生徒の学ぶ意欲・好奇心に火を灯しています。それぞれの大学が異なる専門性を持ちながら、幅広い分野を兼ね備えているのが強みです。一貫コース長の森昌範先生は、ここに至る経緯を次のように話します。
「『K1クエスト』の原型となる取り組みは、15年くらい前から実施していました。たとえば万葉集を学ぶために奈良県明日香村を訪問したり、お金について学ぶために銀行を見学したり。本校は、学びと実物(実社会)を結びつけるアプローチやキャリア教育にはもともと熱心だったのですが、中高大連携をもっと強めようと、現在の『K1クエスト』へと進化したのです」
『K1クエスト』の内容はさまざまで、こちらから大学へ出向くこともあれば、大学から先生が来校して出前授業を開くパターンもあります。コンセプトは“一日大学生体験”。大学での学びに触れ、それが社会や生活とどのように結びついているのかを理解することで、進路意識・学習意欲を喚起することが目的です。
「中1生であれば『大学ってこんなところなんだ!』という興味を持つだけで十分ですが、学年が進むにつれて『それを学ぶとどうなるのか』を考える要素が色濃くなっていきます」

in 大阪工業大学

大阪工業大学工学部都市デザイン工学科では、鉄筋コンクリートの強度に関する講義を受け、どのような鉄筋の張りかたが最も強度が高いのか、目の前でコンクリートを割る実験を見学します( 中2)。一般的な大学見学ならこれでも十分でしょう。しかし、その一歩先へと踏み込むのが『K1
クエスト』。大学の先生は「この実験や技術が何に役立つと思う?」と生徒たちに問いかけ、意外な答えを教えてくれます。「地震で建物が倒れそうになったとき、建物の外へ逃げる時間をかせぐためだよ」。土木技術と言えば建築業界をイメージしがちですが、実は生命を守る学問分野でもあるのだという気づきが、学びへの関心・意欲を刺激し、物理や化学を“学ぶ意味”を知ることになるのです。

大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部で「未来の学校」を考えた(中1)。学校生活がもっと「楽しく」「楽に」「理解しやすく」「仲良く」なれることをテーマに、ものづくりの切り口で日常の問題解決に挑んだ。生徒からは「机に簡易ごみ箱を設置」「制鞄の肩ひもを改良」など、さまざまなアイデアが飛び出した。

中3は、大阪工業大学工学部環境工学科と淀川の水質を研究。川が「きれい」「汚い」という基準は決して見た目の話だけではなく、有機物の量に影響を受けると学ぶ。そこから生徒たちは、川に飲料などを流して捨てる行為が、いかに水質を低下させているかに気づく。

in 広島国際大学

医療系学部に強みを持つ広島国際大学では、義手や義足の製作技術を学び、実際に3Dプリンタで動かす体験をします(中2)。
「医療職と言えば、確かに医師の存在感が強いかもしれません。しかし、医療装具やそれを作り出す義肢装具士も、医療界に欠かせない存在です。そこから人体の構造に興味を持って生物の勉強を頑張るとか、そういう過程を踏んでほしいなと思っています」

広島国際大学で医療体験(中2)。看護学部では聴診器で心音や肺の音を聞いたり(左)、助産師から心と体のバランスについて学んだ。健康科学部・総合リハビリテーション学部では義肢作り(右)を、薬学部では調剤体験にも挑戦。

in 摂南大学

摂南大学農学部と連携した学びはユニークです。ゲノムの解説を受けた後、ブロッコリーのDNAを抽出する実験を行います(中3)。高度な実験設備を持っているのも、同法人内に大学を持つ強みでしょう。国際学部や4月に新設される現代社会学部との連携も計画中です。 

生徒からは「自分が普段何気なく学んでいることと社会のつながりに気づいた」「身近にあるもの
が実はハイレベルな技術で作られていると知り、興味がわいた」といった声が聞かれるそうです。今後は「コンピュータ上に仮想の街をつくる」「模擬法廷」など、人文学や社会学分野の連携も充実させる予定で、『K1クエスト』はますます進化します。

摂南大学農学部食品栄養学科では運動生理学を教わった(中1)。テーマは「運動と心の関係」。体の仕組みが心に与える影響や、姿勢と心の関係、リラックスする方法などを学ぶ。

中3はブロッコリーのDNA抽出実験を行い、遺伝子やDNAの仕組みを学んだ。大学生となった先輩たちも次々に声をかけてくれて、刺激をたくさん受けることができた。